戦略はあったが、Go-to-Marketは機能していなかったケース

戦略も、プロダクトも揃っていた

市場の定義はできていました。ターゲットも明確でした。プロダクトも競争力がありました。営業、マーケティング、それぞれの施策も動いていました。外から見ると、条件は揃っているように見えました。

しかし、結果は伸びきらなかった

案件は出ていました。しかし、継続的には伸びませんでした。特定の施策だけが当たる。再現性がない。営業は「リードの質が悪い」と言い、マーケティングは「リードが活用されていない」と言う。どこかに問題がある感覚はあるが、どこかは特定できない状態でした。

出ていた成果は、何によって成立していたか

ここで問うべきは、「成果が出ているかどうか」ではありません。出ていた成果が「何によって成立していたか」です。案件は出ていました。しかし、それを成立させていたのは、Go-to-Market 全体の仕組みではありませんでした。実際に成果を支えていたのは、

  • トップ営業が、案件ごとに個別に調整していたこと
  • 特定の施策が、たまたまタイミングと噛み合って当たったこと

でした。

つまり、成果は、人の調整と、偶然の噛み合わせによって成立していたのです。仕組みとして再現される経路では、成立していませんでした。

再現性がなかったのは、当然でした。再現される仕組みではなく、その都度、人が間を埋めて成立させていたからです。同じ成果に見えても、仕組みで成立しているのか、人が支えているのかで、再現性も、引き継ぎやすさも、まったく違います。

個別最適は成立していた

マーケティングはリードを獲得していました。営業は案件を前に進めていました。プロダクトも改善されていました。それぞれは合理的に機能していた。しかし、全体としては一致していませんでした。

  • マーケティングの前提と、営業の前提が揃っていない
  • 営業プロセスと、プロダクトの提供価値が一致していない
  • ターゲット定義と、実際の受注案件がずれている

それぞれの取り組みは正しいが、条件の関係が揃っていない状態でした。仕組みはある。しかし、仕組み同士がつながっていないため、全体としては形だけになっていました。

結果として起きていたこと

  • 力が一方向に集まらない
  • 成果が断続的になる
  • 人が間を埋めて成立させる

トップ営業が調整する。特定の施策が例外的に当たる。全体としての推進力は、安定しない。

構造条件として見ると

この Go-to-Market では、

  • 意味条件が、部分的にしか成立していない。各機能の中では通じる言葉が、機能をまたぐと通じていない。
  • 構造損失が、機能と機能のあいだに分散して存在している。受け渡しのたびに、力が摩擦に変わっている。
  • 時間の前提が揃っていない。マーケ・営業・プロダクトで、成果が出るまでの時間軸が違う。

という状態が確認されました。その結果、Go-to-Market は局所的には動くが、全体としては流れを持たない状態になっていました。

挙動モードとしての位置

このケースは、

  • 迷走(Drift)

の状態にありました。一定期間は機能するが、方向や基準が揺れ続ける構造です。どこも止まってはいないのに、力が一つの方向に積み上がっていきませんでした。

なぜ見えにくいのか

この状態では、各機能は機能しています。

そのため、

  • マーケティングの問題
  • 営業の問題
  • プロダクトの問題

として分解されます。それぞれの部署が、自分の範囲で改善を試みます。しかし実際には、どれか一つの機能の中にある問題ではなく、機能同士の関係によって生まれている状態です。

だから、どこか一つを改善しても、解消されません。ひとつの機能の改善が、別の場所のズレを大きくすることさえあります。

構造を観測するという選択

Soralistは、Go-to-Market の正しさを評価しません。その成果が、どのような条件のもとで成立し、どのような挙動を生んでいるのかを観測します。

仕組みで成立しているのか、人の調整で成立しているのか、偶然の噛み合わせで成立しているのか。この内訳が見えてはじめて、再現性をどこでつくるべきかが分かります。