売れているのに、営業が疲弊していたケース

表面上は、何も問題がなかった

売上は伸びていました。案件も継続的に獲得できていました。営業組織としては、機能しているように見えました。

外から見れば、順調な状態だったのです。

しかし内部では、別のことが起きていた

  • 特定の営業に案件が集中していた
  • 難しい案件ほど、限られた人に集まる

マネージャーは、非公式な調整に多くの時間を使っていました。制度やプロセスでは吸収できない部分を、人が埋めていたのです。

新しい施策を入れても、最終的には人が隙間を埋めて成立させている状態でした。

成果は出ていたが、その内訳は違っていた

例えば、成果が 10 出ている状態があったとします。

外からは、同じ 10 に見えます。しかし、その内訳は、組織によってまったく違います。

  • 仕組みが機能して、生み出している力
  • 仕組みはあるが、形だけになっている部分
  • 人が、その隙間を埋めて成立させている力
  • 外部環境に、助けられている部分

この営業組織では、仕組みが機能して生まれている部分は限られ、多くを、特定の人が隙間を埋めることで成立させていました。同じ 10 でも、再現性も、引き継ぎやすさも、拡大したときの安定性も、まったく違います。

その成果は、営業部門だけで成立していたか

ここで、何を成果に置くかが重要になります。

「営業の売上」を成果に置いた瞬間、その成立条件は、営業部門の中だけには収まりません。

売上という成果は、評価制度、業務プロセス、役割分担、そして他部門との接続によって成立しています。営業が疲弊しているのは、営業の中だけの問題ではなく、成果を成立させる条件が、組織全体に分散していることの現れです。

だからこの状態は、営業の中だけでは解けません。人を増やしても、ツールを入れても、成立条件そのものが営業の外にあるなら、負荷は形を変えて戻ってきます。何を成果に置くかが、どこまでを見るべきかを決めます。

構造条件として見ると

営業プロセス、評価制度、役割分担、それぞれは合理的に設計されていました。

しかし、

  • 評価と、行動が一致していない。成果につながる行動が、評価されていない。
  • プロセスと、実際の意思決定がずれている。決まったやり方が、現場の判断と噛み合っていない。
  • 役割と、期待される成果が一致していない。役割の範囲を超えないと、成果に届かない。

これらは、いずれも営業の外にある条件です。仕組みはある。しかし、仕組みが意味を持って機能していないため、形だけになり、その隙間を人が埋めていました。

観測によって見えたこと

この営業組織では、

  • 意味条件の一部が、成立していない
  • 構造損失が高く、投入された力が消耗に変わっている
  • 行動の一部が、属人的に維持されている

という状態が確認されました。

その結果、組織としての推進力は分散し、特定の人に負荷が集中していました。成果が出ているために、その集中は、問題としては現れていませんでした。

挙動モードとしての位置

このケースは、

  • 燃え尽き(Burnout)
  • 外圧駆動(Externally Driven)

の要素を併せ持つ状態でした。

短期的には成果が出るが、内部の消耗が蓄積していく構造です。高い入力と高い負荷が、限られた人に集まっていました。

重要なのは、問題ではなく状態

この組織は、失敗していたわけではありません。むしろ、高い成果を出していました。

ただ、その成果がどのような条件のもとで生まれているのかは、明示されていませんでした。この状態は、外からは見えません。成果の中に含まれているためです。

構造を観測するという選択

Soralistは、営業の良し悪しを評価しません。その成果が、どのような条件のもとで成立しているのかを観測します。

仕組みが機能している部分、形だけになっている部分、人が隙間を埋めている部分を分けて捉える。そして、その成立条件が、営業の中にあるのか、組織全体に分散しているのかを見る。そこから、負荷をどこで解くべきかが分かります。